デジタル家電 2010 10 17

書名 世界で勝てるデジタル家電
著者 西田 宗千佳  朝日新聞出版

 この本の副題には、
「メイドインジャパンとiPad、どこが違う」とあります。
 日本のデジタル家電とアップルのデジタル家電を見て、
私が思うことは、「複雑対シンプル」でしょうか。
 アップルは、みんなが欲しがるものを素直に作った。
日本のメーカーは、その技術力を消費者に自慢したいという気持ちが、
その製品に現れていると思います。
 こうした消費者向けの工業製品は、二つ考えられると思います。
ひとつはマニア向けの製品、もうひとつは大衆向けの製品。
マニアが喜ぶ製品を作り続けると、それはコスト高でしょうし、
オーバークオリティーとなるでしょう。
 この本では、「iPadは何が『すごい』のか」という章で、
「最新・最先端ではないiPadの中身」について書いています。
ただし、「ユーザーが重要だと思う部分を強化」したのです。
 これに対して、日本のメーカーも、
「われわれも、ユーザーが重要だと思う部分を強化している」と言うでしょうが、
そのユーザーとは、マニアでしょうか、大衆でしょうか。
結果的に、マニア・ユーザー向けの機能を強化していないでしょうか。
 もちろん、こういう傾向になってしまうのは、雑誌のライターにも原因があります。
雑誌のライターは、その製品に対してマニアですから、
マニアの視点から記事を書いていると思います。
おそらく、ライターには、マニアが満足できる機能が搭載されているかという視点があると思います。
はたして、一般の消費者が使いやすいかという視点で記事を書いているか。
 シンプルで使いやすい製品、
マニュアルを読まなくても操作方法が直感でわかる製品を望みます。
 よく、「日本の半導体産業は、
過剰技術、過剰品質、過剰性能という病にかかっている」と言われます。
 もしかして、日本のデジタル家電メーカーも、
そういう病気にかかっていますか。
 経済に国境がない現代において、
世界最高の技術で世界最高の製品を作っても、価格は普及品と同じになります。
 技術者は悔しいでしょうが、
その世界最高の技術は、消費者が求めている分野で、
あるいは、消費者が使いやすいという分野で発揮すべきです。
それが、一般消費者向けの工業製品の宿命です。

マーケティング 2010 2 28
書名 日本「半導体」敗戦
著者 湯之上 隆  光文社ペーパーバックス
 かつて、日本の半導体産業は世界市場で5割以上のシェアを獲得し、
自動車産業と並ぶ日本の基幹産業だった。
 しかし、現在、日本の半導体産業は、
エルピーダメモリ1社を残してDRAMから撤退した。
そのエルピーダメモリも、2009年6月、産業再生法の認定を受け、
公的資金の注入が決まった。
1980年代半ばに世界を制した技術と品質は、
いまや不況のたびに膨大な赤字を生み出す元凶と化した。
(以上、この本の紹介文から)
 なぜ、こんなことになってしまったのか。
著者は、こう指摘します。
「日本の半導体産業は、過剰技術、過剰品質、過剰性能という病にかかっている」。
 経済に国境がない現代において、あるいは国際競争の中では、
世界最高の技術で世界最高の製品を作っても、価格は普及品と同じになります。
これでは、好景気の時も赤字、不況の時は公的資金の注入となります。
 ポルシェ911という自動車は、運動性能や品質において、
世界最高の自動車といえるでしょう。
 しかし、ポルシェ911を毎年100万台生産していると、
「好景気の時も赤字、不況の時は公的資金の注入」となるでしょう。
 パソコン向けのDRAMを25年保証のレベルで生産したら、どうなるか。
そもそも、パソコンは、25年も使い続けるものなのか。
普通、パソコンは、5年で買い替え、早い人で3年で買い替えをするでしょう。
だから、パソコン向けのDRAMは、5年保証レベルで十分でしょう。
 日本の半導体産業に欠けているものは、何か。
それは、マーケティングでしょう。
 日本の半導体産業が全盛だった時代は、
おそらく、汎用コンピューターが全盛だった時代だと思います。
 しかし、その後、ミニコンが全盛だった時代、
そして、パソコンが全盛である時代へと変わってきています。
 史上最強の動物だった恐竜が、なぜ滅びたか。
地球が温暖だった時代は、食料が豊富にあり、飢える心配はなかった。
しかし、地球が寒冷化してくると、食料が不足し、恐竜は、飢えに苦しむ結果となった。
 恐竜に、「寒くなったから、ダイエットして、やせろ」と言っても、
それは、無理な相談でしょう。
しかし、会社は変われる。
会社は、環境の変化に合わせて、自分を変えることができる。
















































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